振替休日と代休の違いとは?社労士が徹底解説

社労士コラム

はじめに

企業において、休日に出勤が必要になるケースは少なくありません。その際、「振替休日」「代休」という二つの制度が活用されます。しかし、これらの違いを正しく理解していないと、労務管理においてトラブルが発生する可能性があります。

本記事では、「振替休日」と「代休」の違いについて、解説し、企業の適切な運用方法についても説明します。

まずは2つの休暇制度の内容をそれぞれ説明していきます。

1. 振替休日とは?

振替休日とは、あらかじめ特定の労働日を休日とし、その代わりに本来の休日に労働させる制度です。

振替休日の要件

  1. 事前に休日と労働日を変更すること:会社は事前に従業員に対し、「この日は休日とし、その代わりにこの日に出勤してもらう」と通知する必要があります。
  2. 休日労働には該当しない:振替休日が適切に設定されている場合、休日労働とはみなされず、割増賃金の支払い義務は生じません
  3. 就業規則等に定めることが必要:振替休日制度を導入する場合、就業規則等に明文化することが求められます。

振替休日の具体例

例えば、日曜日が本来の休日である会社が、特定の業務のために従業員を日曜日に勤務させたい場合、事前に「翌週の水曜日を休日にする」と通知、労働者側との合意があって初めて振替休日となります。

2. 代休とは?

代休とは、すでに休日に労働した後に、その代わりとして別の日に休みを与える制度です。

代休の要件

  1. 事前に労働日と休日を変更しない:代休は、休日に労働した後に、その代わりの休みを付与する制度であるため、振替休日とは異なり、事前の取り決めはありません。
  2. 休日労働に該当する:代休を与える場合でも、労働基準法上は休日労働となるため、法定休日労働であれば割増賃金(35%以上)の支払いが必要になります。
  3. 代休を取得しない場合の扱い:代休を取得しなかった場合、休日労働に対する通常の賃金と割増賃金を支払わなければなりません。

代休の具体例

例えば、日曜日が本来の休日である会社が、急な業務のために従業員を日曜日に勤務させ、後日、金曜日に休みを取らせた場合には代休に該当します。

3. 振替休日と代休の違い

このように、振替休日と代休は似ているようで、実務上の扱いが大きく異なります

4. 企業における適切な運用方法

振替休日の活用ポイント

  • 就業規則で振替休日制度を明文化する。
  • 休日と振替出勤日を事前に従業員に通知する。
  • 法定休日を振替する場合は、1週間以内に設定する。

代休の活用ポイント

  • 代休制度のルールを明確にし、就業規則に記載する。
  • 休日労働を管理し、適切な割増賃金を支払う。
  • 代休の取得状況を適切に管理し、未取得の場合の扱いも明確にする。

5. まとめ

振替休日と代休の違いを理解し、正しく運用することは、企業の労務管理において非常に重要です。
振替休日は事前に決定し、割増賃金が発生しないメリットがある一方、
代休は休日労働の後に与える休みであり、割増賃金が発生する点に注意が必要です。

適切な制度運用によって、従業員の労働環境の改善と企業のコンプライアンス強化を図りましょう。

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