出産後、育児を開始するときに生活費などのお金の心配はございませんか?
今回は育休手当(育児休業給付金)についてわかりやすく解説していきます。
育児休業給付金の概要
育休手当(育児休業給付金)とは、育児休業を取得した人が一定の要件を満たすときに受け取れる雇用保険の給付金です。
育休中は基本的に給与が出ないため、「世帯収入が大きく減ってしまう」「生活費が足りなくなるのでは」と不安な人もいるのではないでしょうか。
育休手当は、原則子どもが1歳になるまで、給与の約7割(181日目以降は5割)を受け取れます。育休手当は非課税であり、所得税(復興特別所得税を含む)や住民税がかかりません(※)。そのため、育休中の生活を守るための大切な収入源となります。
また、育休中の社会保険料は労使ともに免除され、育休期間中に給与が支払われていない場合は雇用保険料も発生しません。
なお、育休に性別の制限はなく、要件を満たせば男性・女性ともに取得でき、育休手当を受け取れます。
育児休業給付金の対象者
育児休業給付金の対象者は、以下の要件を満たす労働者です。
- 雇用保険に加入していること
育児休業給付金は、雇用保険に加入している労働者が対象です。正社員はもちろん、パートタイムやアルバイトでも雇用保険に加入していれば、育児休業給付金の対象になります。ただし、雇用保険に加入していない場合や、一定の要件を満たさない場合には支給されません。 - 育児休業を取得すること
育児休業給付金は、育児休業を取得した場合に支給されます。育児休業を取るためには、出産後の一定期間、子どもと共に過ごすために仕事を休業することが必要です。休業期間の長さや、実際に休業するかどうかに関わらず、育児休業を取得することが基本的な要件です。 - 一定期間以上雇用されていたこと
育児休業給付金を受け取るためには、原則として過去2年間のうち、雇用保険に加入していた期間が12ヶ月以上であることが求められます。この期間における賃金の支払いが確認できれば、育児休業を取得した場合に支給されます。
※給与支払いの基礎となった勤務日数が11日以上で1か月とカウントします
育児休業給付金の給付金額
次に一番気になる育児休業給付金の給付金額を確認していきましょう。
主に以下の2つの要素に基づいて決まります。
- 休業前の給与
育児休業給付金は、育児休業開始前の給与額に基づいて支給されます。
具体的には、育児休業前6か月間に支払われた給与総額を180で割って得た金額が基準となります。
※産休取得後にそのまま育休に入る場合は産休取得前6か月間 - 支給率
支給される金額は、上記の基準給与額に対して、一定の支給率を適用した金額になります。
- 育児休業の初めの6ヶ月間(180日間)
初めの6ヶ月間は、育児休業前の給与の67%が支給されます。この期間は、比較的高い割合で給付金が支給され、生活の支援が行われます。 - 育児休業の6ヶ月以降(181日目以降)
6ヶ月を超えると、支給率は50%に引き下げられます。
- 育児休業の初めの6ヶ月間(180日間)
支給金額の例
例えば、休業開始前の基準月収30万円の労働者が育児休業を取った場合、給付金額は以下のように計算されます。
- 初めの6ヶ月間
30万円 × 67% = 20万1,000円 - 6ヶ月以降
30万円 × 50% = 15万円
このように、育児休業初期の支給額は比較的高めに設定されていますが、長期間の育児休業を取る場合には、支給額が減額されます。
注意点:上限額と下限額
育児休業給付金には上限額と下限額が設けられています。算出された給付金額が上限額を超える場合には、上限額が適用されます。逆に非常に低い場合は、一定の下限額が適用されることもあります。
(給付率67%)支給上限額 315,369円 支給下限額 57,666円
(給付率50%)支給上限額 235,350円 支給下限額 43,035円
育児休業給付金の申請方法
育児休業給付金を受け取るためには、所定の手続きが必要です。通常は、次の手順で申請を行います。
- 育児休業の取得 まず、育児休業を取得する旨を会社に伝えます。通常、育児休業の申し込みは、事前に申請書を会社に提出することによって行われます。
- 必要書類の提出 育児休業を取得するためには、育児休業の申請書を提出し、雇用保険に基づく必要書類を用意する必要があります。これには、給与明細書や雇用保険被保険者証などが含まれます。
- 給付金申請書の提出 必要書類を整えた後、育児休業給付金の申請書をハローワークに提出します。通常、会社が申請手続きを代行することが多いですが、個人で行うことも可能です。
- 給付金の支給 申請が完了すると、育児休業給付金が指定した銀行口座に振り込まれます。支給は通常、月単位で行われます。
まとめ
育児休業給付金は、企業が従業員に育児休業を取得させやすくするための重要な支援制度です。
育児休業中の給与が無給であったり、生活費に困ることがないように、しっかりと給付金が支給されるために漏れずに申請することが重要です。
また、育児休業給付金の申請には正しい手続きが必要です。給与明細書や雇用保険の証明書など、必要書類を正確に準備し、期日内に申請することが大切です。さらに、育児休業を取った場合でも、企業側には休業者に対して十分な支援を行う責任があります。当事務所ではそのサポート役として、企業と従業員の双方により具体的なアドバイスが可能です。
是非お気軽にお問い合わせください。
コメント