目次
~はじめに~
育児休業は、1歳未満の子どもを育てるために取得することができる休業です。育児・介護休業法に定められており、女性労働者だけではなく、男性労働者にも育児休業の取得が推奨されています。
今回は、育児休業の解説、育児休業の申請、手続き方法、申請期限などについて解説します。

1. 育児・介護休業法とは?
育児・介護休業法は、労働者が育児や介護のための休業を取得する権利を定めた法律です。この法律の目的は、家庭の事情を抱える労働者が安心して働き続けられるよう支援することにあります。
1.1 背景と目的
日本では少子高齢化が進行し、働く世代が育児や介護に直面するケースが増加しています。この法律は、以下の2つのシチュエーションをサポートすることを目的としており、現代社会において安心して”子育て・介護”と”仕事”を両立できるよう施行されました。
- 育児と仕事の両立:子育て中の労働者が無理なく仕事を続けられる環境を提供。
- 介護と仕事の両立:家族の介護を担う労働者を支援し、離職を防止。
この記事で特に育児休業にフォーカスして解説させて頂きます。
ひと昔前までは女性は結婚や出産といったライフステージにて退職をするケースが一般的でした。
その風潮を前提として企業側も採用活動・人材育成をしていた時代です。
ところが現在は、女性の社会進出により、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法を守ることが当たり前の時代になっています。
女性も(男性も)ライフステージのターニングポイントで積み上げてきたキャリアを失わず
育児とキャリアの両軸で自分らしいキャリア選択をとることが現代での当たり前になりつつあります。
実際に女性の育児休業取得率は年々増えてきており、平成8年度では49.1%だったものが、令和2年度には81.62%にまで上昇しています。
1.2 主な対象者
当初は複数の要件に該当しなければ育児休業が取れませんでしたが
法改正により現在は下記用件のみとなっております。
子が1歳6か月になるまでの雇用終了の見込みがないこと。
(引き続き雇用された期間が1年未満の労働者は労使協定の締結により除外可)
(子どもが2歳になるまで期間を延長した場合は2歳になる日まで雇用契約がある)
1.3 育児休業の取得可能期間
育児休業を取得できる期間は、「1歳になるまで」「1歳6ヵ月になるまで」「2歳になるまで」の3パターンです。
それぞれの期間別の内容やどういう条件で取得できるのかを説明します。
(1)1歳になるまで(基本)
育児・介護休業法で、労働者が育児休業を取得できるのは、
原則、子どもが1歳になるまでの間とされています。
(2)1歳6ヵ月になるまで(延長した場合①)
子どもが1歳になるときに、保育所が決まらないなど
労働者本人の雇用を継続するために必要があると認められる場合に限り、
1歳6ヵ月まで育児休業を延長することができます。
(3)2歳になるまで(延長した場合②)
雇用を継続するためには保育所などに入所する必要があると認められる場合には、
最大で2歳まで育児休業を延長することができます。
2. 育児・介護休業法とは?育児休業の取得手順と必要書類
法改正によって要件だけ見るとシンプルで利用しやすい制度になりましたが
実際の取得手続き上では対応すべきこと、必要な書類が複数あります。
次に育児休業の取得手順とそれぞれの必要書類についてを見ていきましょう!
2.1 事前確認と準備
- 対象確認:育児休業を取得する対象者(労働者本人)が法律に基づいた条件を満たしているか確認します。
- 子どもが1歳未満であること。
- 継続して同一事業主の下で働いていること(除外規定を設けている場合)
- 会社の制度確認:就業規則や会社の育児休業制度を確認。(特に除外要件がある場合など)
2.2 申請のための準備
- 必要書類の確認:以下の書類を準備します。
- 育児休業申出書:会社が指定したフォーマット。※厚生労働省HPよりひな形のダウンロードが可能
- 子の出生証明書または母子健康手帳の写し:出生を証明する書類。
- 配偶者の状況を確認する書類(場合による):配偶者が育児可能な状況かどうかを示す証明。
★労働者より妊娠・出産の報告があったタイミングで会社からの育休(+産休)の制度告知と意向確認が必須義務となりました。
2.3 会社への申請
- 申請期限を確認:原則として育児休業開始予定日の1か月前までに申請。
- 申請方法:
- 育児休業申出書に必要事項を記入。
- 人事担当者や上司に提出。
2.4 会社での手続き
- 会社側の対応:
- 労働者の勤務スケジュールを調整。
- 育児休業給付金の手続きをサポート。
※必要書類
育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
賃金台帳
出勤簿またはタイムカード
母子健康手帳などの写し
給付金振込口座の通帳の写し
3 休業中及び休業終了に向けて
3.1 休業開始後の対応
- 会社への報告:休業中に予定変更がある場合、速やかに報告。
- 定期的な確認:会社や人事部からの連絡に対応し、復帰スケジュールを調整。
育休中は社会保険料の支払いが本人/会社の双方で免除となります
3.2 育児休業の終了と職場復帰
復帰時の手続き:必要な書類(復帰届など)がある場合は提出。
「育児休業終了時報酬月額変更届」を提出する
職場復帰しても産休取得前と同じように働けるとは限りません。
復帰後3歳未満の子の養育期間中に、毎月の給与が育休前と比較して下がる場合が多いのではないでしょうか?
その場合は「健康保険・厚生年金保険 育児休業終了時報酬月額変更届」を管轄の日本年金機構へ提出することで
社会保険料の算定基礎となる報酬月額の改定の申し出が可能です。
その後改定された報酬月額を基に社会保険料が変更されます。
復職に向けては、具体的な復帰日や勤務時間について本人と企業が面談し、準備を進めましょう。
育児・介護休業法により、3歳未満の子を養育する従業員は原則残業が免除され、短時間勤務制度(1日6時間)を設ける必要があります。また、小学校就学前の子どもを養育する場合は、時間外労働や深夜労働の制限があるため、職場環境の整備が求められます。
復帰前の連絡:復帰予定日の1か月前までに人事担当者に連絡。
当事務所では、従業員の妊娠がわかってから出産、産前産後休業、育児休業、職場復帰に至るまでの複雑な申請・手続きを完全サポート致します。
さらに詳細な相談が必要な場合は、お気軽に相談ください。
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