キャリアアップ助成金とは?

助成金

助成金の概要

キャリアアップ助成金とは、非正規雇用労働者(有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者)のキャリアアップを促進するために、厚生労働省が設けた助成制度です。
企業が非正規雇用労働者の待遇改善や能力向上を目的とした取り組みを行うことで、国から助成金を受け取ることができます。

助成金の背景

日本の労働市場では、非正規雇用労働者の割合が高まり、雇用の安定性や賃金格差が社会問題となっています。このような状況を改善するために、政府は企業に対して、非正規雇用労働者の正社員転換やスキルアップを促す施策としてキャリアアップ助成金を創設しました。
この助成金を活用することで、労働者のキャリア形成を支援し、労働環境の改善を図ることができます。

キャリアアップ助成金は、雇用保険料を財源として運営されています。企業や労働者が支払う雇用保険料の一部が積み立てられ、助成金として活用される仕組みになっています。

キャリアアップ助成金の対象となる事業主について

キャリアアップ助成金を申請するために雇用保険の適用事業であるだけでなく対象の要件を満たしてた状態であることが基本となります。
また、就業規則へ社員転換の要件や手続きについて規定されていることも必須となりますので
助成金申請を検討している場合は就業規則の見直し/追記と併せて役所への届け出を行う必要がある為、
検討段階でサポート可能な社労士や有識者への相談をすることが無難です。

①雇用保険適用事業所の事業主

②雇用保険適用事業所ごとに「キャリアアップ管理者」を配置

③雇用保険適用事業所ごとに取り組み前にキャリアアップ計画を作成し、労働局長の認定を受けている

④キャリアアップ助成金対象の労働者について、労働条件や勤務状況、賃金支払い状況などがわかる書類を作成

⑤キャリアアップ計画期間中に、非正規雇用労働者のキャリアアップに関する取り組みを実施

助成金の内容

キャリアアップ助成金には、以下の複数のコースが設けられています。
まずはそれぞれのコースの概要を把握していきましょう。

1. 正社員化コース

有期契約労働者を正社員や無期雇用に転換した場合に支給される助成金。
アルバイトやパートなどの有期契約労働者等を正規雇用労働者に転換した場合や直接雇用した場合に助成されるコースです。他のコースと比べて最も利用しやすく「キャリアアップ助成金=正社員化コース」と言われるほどです。有期契約労働者等を雇用する事業主の方が最初に検討する助成金です。

  • 要件:6ヶ月以上の有期雇用経験者を正社員または無期雇用に転換すること。

※正社員に転換したあと、6ヶ月継続して雇用すると1期目として申請可能。
※その後、さらに6ヶ月継続して雇用すると2期目として申請可能。

2. 賃金規定等改定コース

賃金規定を改定し、有期雇用労働者の基本給を増額した場合に支給される助成金。

  • 要件:非正規雇用労働者の基本給を一定割合以上増額すること。
    有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を3%以上増額改定し、昇給させた場合

職務評価(※)の手法の活用により賃金規定等を増額改定した場合の加算措置があります。

※職務評価とは、職務の大きさを相対的に比較し、その職務に従事する労働者の待遇が職務の大きさに応じたものとなっているかの現状を把握することをいいます。

3. 賃金規定等共通化コース

有期契約労働者等の賃金規定などを作成し、運用した場合に助成されるコースです。
賃金規定等は、正規雇用労働者と共通の職務等に応じた規定でなければなりません。

有期雇用労働者等に正規雇用労働者と共通の賃金規定等を新たに作成し、適用した場合に助成を受けることができます。

助成金の支給額は、中小企業で1事業所当たり60万円となり、大企業の場合は1事業所当たり45万円になります。

4. 障碍者正社員化コース

障害者の雇用促進と職場定着を図るための助成金です。

障害者正社員化コースは、重度の障害者か重度以外の障害者かに区分され、有期雇用・派遣労働者から正規雇用労働者にした場合に120万円(60万円×2期)(大企業は90万円(45万円×2期))の助成を受けることができます。詳しくは、こちらをご覧ください。
【参照】厚生労働省:キャリアアップ助成金(障碍者正社員コース)

5. 賞与・退職金制度導入コース

有期契約労働者を対象に、賞与・退職金制度を導入し、支給または積立を実施した場合に助成されるコースです。

すべての有期雇用労働者等に関して、賞与 ・ 退職金制度を新たに設け、支給または積立てを実施した場合に助成されます 。

各コースの助成金の支給額

助成金の支給額は、コースや企業の規模によって異なります。中小企業と大企業では支給額が異なることが多いため、事前に厚生労働省のガイドラインを確認することが重要です。

また、1つの企業が複数のコースを活用することも可能です。例えば、「正社員化コース」と「賃金規定等改定コース」を同時に利用すれば、より多くの助成金を受け取ることができます。

助成金申請に必要な情報・書類

キャリアアップ助成金を申請する際には、以下のような情報や書類が必要となります。

企業が準備すべき情報

  • 企業の基本情報(法人名、所在地、代表者名など)
  • 対象となる労働者の情報(氏名、雇用形態、雇用契約期間など)
  • 就業規則や賃金規定などの社内規程
  • 労働者との雇用契約書
  • 給与明細書や賃金台帳
  • 助成対象となる取り組みの記録(転換後の雇用契約書、給与改定の証明書類など)

社労士に代行を依頼する場合に必要な書類

社労士に申請を代行してもらう場合には、以下の書類を準備する必要があります。

  • 申請代行委任状
  • 企業の印鑑証明書
  • 申請に必要な各種書類(就業規則、賃金規定、雇用契約書など)

まとめ

キャリアアップ助成金は、企業が非正規雇用労働者の待遇改善やキャリアアップを促進するための重要な制度です。助成金の活用には、事前に要件を確認し、適切な書類を準備することが求められます。社労士に依頼することでスムーズに申請を進めることができるため、専門家のサポートを受けるのも有効な手段です。

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